病6-2版_立ち読み
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●免疫グロブリンG(IgG):immunoglobulin G ●原発性硬化性胆管炎(PSC):primary sclerosing cholangitis ●自己免疫性膵炎(AIP):autoimmune pancreatitis ●Fab:antigen binding fragment ●Fc:crystallizable fragment ●後腹膜線維症:retroperitoneal fi brosis●IgG4は他のIgG4分子とその半分(H鎖1本とL鎖1本)を交換しやすい特徴をもつため,免疫複合体を形成しにくい.●さらにIgG4のFc部分には補体(C1)がほとんど結合しないため,IgG4は補体活性化能をもたない.●IgG4は,免疫反応やアレルギー反応を抑制する中和抗体として働くと考えられている.●しかし,これらの疾患の一部にはいずれもIgG4が関連しており,病理組織学的にも類似した特徴をもつことが明らかとなった.●これらは重複して出現することもあり,そのような全身性疾患を包括する概念として,IgG4関連疾患が提唱された.■■■■■M124ikulicz病 〔p.125〕涙腺と唾液腺が両側性・持続性に腫脹する疾患である.19世紀に初めて報告され,かつてSシェーグレンjögren症候群〔p.116〕と混同されていたが,近年,IgG4関連涙腺・唾液腺炎であることが明らかにされた.Sjögren症候群と異なり,乾燥症状に乏しく,抗SS-A抗体・抗SS-B抗体がほとんど陰性である.ステロイドに著明に反応する.IgG4免疫学的染色 〔p.124〕黄疸や糖尿病症状を呈す自己免疫疾患であり,1型と2型があるがわが国では1型がほとんどである.特に1型AIPは血中IgG値高値でIgG4関連疾患膵病変とも考えられている.膵外病変として硬化性唾液腺炎,硬化性胆管炎,後腹膜線維症の合併頻度が高く,治療はステロイドが有効である.〔P.127〕標識された抗IgG4抗体を用いて,IgG4陽性形質細胞を染色する方法.M35.9IgG4関連疾患とは,リンパ球やIgG4陽性形質細胞の浸潤がみられ,単一または複数の臓器に腫大や結節・肥厚,線維化などをきたす全身性の慢性炎症性疾患である.わが国で初めてその疾患概念が提唱され,国内に8,000〜2万人の患者がいると推定される.自己免疫性膵炎(AIP) 硬化性胆管炎 〔p.124〕胆管壁の線維性肥厚と内腔の狭窄がみられる疾患で閉塞性黄疸をきたす.わが国では腫瘍性病変や胆道結石などの原因が明らかな二次性硬化性胆管炎と原発性硬化性胆管炎(PSC),IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の3つに分類されている.An Illustrated Reference Guide 体内のIgGサブクラスの割合臓器病変(単一または複数)●腫大●結節・肥厚性病変●線維化涙腺・唾液腺炎後腹膜線維症●それぞれの疾患の一部には,IgG4関連疾患によるものが含まれている. 4つのサブクラスのうち最も少ない IgG4とは●免疫グロブリン(IgG)〔p.23〕には4つのサブクラスがあり,IgG4はIgGのうち最も少なく,4%と微量である. 腫瘤性・結節性・肥厚性の臓器病変 IgG4関連疾患とは●IgG4関連疾患とは,IgGのサブクラスの一つであるIgG4を産生するIgG4陽性形質細胞の浸潤によって,単一または複数の臓器に腫大,結節・肥厚性病変や線維化を認める慢性炎症性疾患である. 単一臓器疾患から全身性疾患へ IgG4関連疾患の概念●従来,自己免疫性膵炎(AIP)や涙腺・唾液腺炎などの疾患は,それぞれ別の単一臓器疾患と認識されていた.形IgG3IgG47%4%IgG229%IgG4関連疾患の特徴IgG4陽性形質細胞の浸潤IgG4IgG4関連疾患と類似疾患の関連性IgG4関連疾患異なるFabをもつ自己免疫性膵炎(AIP)硬化性胆管炎監修梅原 久範Webで確認IgG4の構造60%IgG1高IgG4血症intro.IgG4関連疾患

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