病みえ5-3
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●頭蓋内出血(死因で最多)●口腔内出血●消化管出血●血尿など●重症例では乳幼児期より斑状皮下出血を呈し,その後,皮下●軽症例では思春期頃,外傷や抜歯後に止血困難となるまで気止血機構の異常血友病●腸腰筋出血では,股関節や大腿筋を伸展させると疼痛が増悪するため,股関節を屈曲した体位をとることが多い.●筋肉内出血により動静脈や神経が圧迫されると,コ●骨膜下での広範な筋肉内出血を繰り返すと偽腫瘍(血●確定診断はCT,MRIなどの画像検査による.●デオキシリボ核酸(DNA):deoxyribonucleic acid ●リボ核酸(RNA):ribonucleic acid ●メッセンジャーRNA(mRNA):messenger ribonucleic acid ●先天性血液凝固異常症:congenital blood coagulation disorder ●フォンヴィレブランド病(VWD):von Willebrand disease ●関節内出血:intraarticular bleeding ●筋肉内出血:intramuscular bleeding ●頭蓋内出血:intracranial hemorrhage ●腸腰筋:iliopsoas muscle ●コンパートメント症候群:compartment syndrome ●偽腫瘍:pseudotumor An Illustrated Reference Guide●本症では凝固因子の活性低下により,斑状出血がみられる.一方,点状出血は血小板減少でみられるため,本症ではみられにくい.●右側の腸腰筋出血では急性虫垂炎と誤診されること男児その他抜歯後の止血困難斑状出血ソウアスポジション医師頭蓋内出血股関節屈曲位(psoas position)関節内出血や筋肉内出血は,健常者でも運動時には少量生じているのですが,止血機構が正常に働き,すばやく止血されるため,血友病患者のような深部出血には至りません.単純CT像(水平断)283第116回医師国家試験A17写真提供:和田 英夫+αもっとわかる ※吸引分娩や鉗子分娩は,頭血腫〔病⑩p.362〕,帽状腱膜下血腫〔病⑩ 深部出血が特徴 症状●本症に特徴的な出血症状は,関節内出血や筋肉内出血などの 腸腰筋出血が特徴的 筋肉内出血●筋肉内出血は,外傷や激しい運動後に大腿筋や腸腰筋などの下肢筋や前腕の屈筋に生じやすく,関節内出血と同様に疼痛性腫脹や運動障害をきたす. 死因で最多 頭蓋内出血●頭蓋内出血は,血友病患者の出血死の原因として最多である.●小児(特に生後6〜12ヵ月の乳児)に好発する.●原因不明の自然出血で発症することが多い.その他の原因には吸引分娩や鉗子分娩〔病⑩p.359〕,転倒や落下による頭部打撲がある.●症状は頭痛や悪心・嘔吐,不機嫌などがみられるが,乳児では症p.362〕などの頭蓋外血腫もきたしやすい.深部出血である. 血腫が生じる.づかれないこともある.関節内出血筋肉内出血深部組織への出血ンパートメント症候群〔病⑪p.307〕に至ることがある.友病性偽腫瘍〔p.282W〕)が形成されることがある.があり注意が必要である.状が明瞭に出ないことも多い. 血友病性関節症へ進展 関節内出血●関節内出血は,歩行を開始することで関節の動きが活発化する1歳以降に出現する.好発部位は,膝,足,肘関節のような大関節である.●熱感をもつ疼痛性腫脹をきたし,関節の可動域制限をきたす.繰り返す出血により滑膜変性や炎症が進行すると,血友病性関節症に至る.

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