病みえ5-3
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ドドドドレドドドドドドドドドドドドドドド骨髄からっぽ●造血幹細胞移植により造血幹細胞を補うことができるため,大量薬物療法や全身放射線照射を用いて腫瘍細胞を根絶することができる(移植前処置〔p.238〕の目的の一つ).●正常造血幹細胞が残存できる(自力で造血回復できる)量の薬物を使用する.●このため,腫瘍細胞が残存する可●造血幹細胞移植は主に造血器腫瘍の治療として行うが,非腫瘍性疾患(再生不良性貧血〔p.72〕など)●造血幹細胞移植:hematopoietic stem cell transplantation ●ドナー:donor ●レシピエント:recipient ●同種移植:homologous transplantation ●自家移植:autologous transplantation ●前処置:preparative regimen ●全身放射線照射:total body irradiation ●重症複合免疫不全症(SCID):severe combined immunodefi ciency disease ●毛細血管拡張失調症:ataxia telangiectasia●移植された造血幹細胞は,自己複製(増殖)しつつ,全ての血球(赤血球,白血球,血小板)に分化●造血幹細胞移植の主な目的は造血器腫瘍の治療である.●造血幹細胞移植では,移植した造血幹細胞により正常造血の回復が期待できるため,薬物療法のみで治療する場合よりも大量の薬物(抗がん薬)や,放射線を使用できるという利点がある.このため,腫瘍細胞を徹底的に排除することができる(これが造血幹細胞移植の本来の目的でもある).HCT-Cl レシピエント薬物療法+造血幹細胞移植大量薬物療法全身放射線照射※同種移植では,薬物や放射線だけでなく,移植されたドナーの免疫担当細胞によっても腫瘍細胞が攻撃される(GVL効果〔p.240〕).増殖・分化造血機能が回復移植ド監 修神田 善伸同種移植の場合ドナー造血幹細胞を移植造血幹細胞(移植片)薬物療法のみで治療232造血幹細胞移植重症複合免疫不全症 〔p.233〕T細胞の欠損とB細胞の欠損・機能不全により,細胞性・液性免疫能がほぼ欠損する先天性免疫不全症.造血幹細胞移植が行われないと致死的である.毛細血管拡張性失調症 〔p.233〕眼球と耳の毛細血管の拡張,進行性小脳失調,免疫不全,高い発がん率を呈する常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)性疾患.幼児期より症状が進行する.Lルイouis-Bバーar症候群ともいう.ドナーリンパ球輸注(DLI) 〔p.235〕移植で造血幹細胞を提供したドナーのリンパ球を患者に注入する治療法.移植後の再発や混合キメラ〔p.238W〕状態,ウイルス感染などに有効とされている.ハプロタイプ 〔p.236〕同一染色体上で遺伝子座が近接した遺伝子群.これらは,ひとかたまりとして遺伝する.An Illustrated Reference Guide〔p.233〕移植前の患者の併存疾患をスコアリングする指標であり,造血幹細胞移植後の移植関連死亡のリスクを評価するために使用される.疾患ごとに点数がついており(1~3点),スコア0点の患者と比較して3点以上の患者は非再発死亡率が約10%高くなる.+αもっとわかる 骨髄を入れかえる 造血幹細胞移植とは●造血幹細胞移植(HCT)とは,造血機能に異常をきたし正常な血球をつくることができなくなった患者(レシピエント)に,ドナーから提供された造血幹細胞(同種移植),あるいはあらかじめ凍結保存しておいた自分自身の造血幹細胞(自家移植)を移植し,造血機能の正常化を図る治療法である. 腫瘍細胞を徹底的に排除 目的する能力をもつ〔p.4,5〕.正常造血幹細胞腫瘍細胞薬物療法能性がある.にも適応となる場合がある.造血幹細胞移植概要

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