病みえ5-3
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IDA) 赤血球の異常●頭痛,めまい ●眼瞼結膜蒼白●動悸,息切れ,易疲労感など●皮膚や粘膜,爪は細胞増殖能が高く,鉄の需要が大きいため,鉄欠乏が進行するとこれらの組織にも障害が生じる.鉄欠乏性貧血(●食物の嗜好に異常がみられ,氷や土などを好んで食べる.●ときに胃にも病変が●舌前1/3の舌乳頭の萎縮(平滑な舌),発赤,疼痛口角炎嚥下障害●食道粘膜が萎縮し,ウェブwebとよばれるヒダが形成される.*症状の進行●最近では動悸,息切れなどの貧血症状から血液検査によって早期に診断されることが多いため,このような特徴的な所見を認める頻度は低い.●ただし,萎縮性胃炎により鉄欠乏に陥っている可能性もある.*粘膜は上部消化管側から下行性に障害されやすい.●小球性低色素性貧血に舌炎,口角炎,嚥下障害が合併するものをPlummer-Vinson症候群という.●爪の中央部が陥凹し,●舌炎:glossitis ●平均赤血球容積(MCV):mean corpuscular volume ●平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC):mean corpuscular hemoglobin concentration ●フェリチン:ferritin ●血清鉄:serum iron ●不飽和鉄結合能(UIBC):unsaturated iron binding capacity ●総鉄結合能(TIBC):total iron binding capacity ●小球性低色素性貧血:microcytic hypochromic anemia ●菲薄赤血球:leptocyte ●胃全摘:total gastrectomy ●ピロリ菌:Helicobacter pylori ●サラセミア:thalassemia●鉄欠乏に伴いヘモグロビンの合成が障害され,赤血球は初期には大小不同となる.その後小球性(MCV↓)となり,最終的に低色素性貧血(MCHC↓)となる.●爪の上皮細胞の鉄需要は大きいため,組織鉄の減少まで病態が進行すると,爪はもろくなり爪の中央部が陥凹し,スプーン状に変形する.●血小板数が軽度に増加することが多いが,これは,鉄欠乏によって骨髄中の巨核球・赤芽球系前駆細胞の赤芽球系への分化が進まず,巨核球に分化しやすくなるからであると考えられている.●よく使用する指の爪には力が加わりやすく,スプーンメイ ギムザ〔次項〕写真提供:大田 泰徳ピカプランマーPlummer-Vinson症候群ビンソン貧血に共通した症状舌炎先端が反り返る.スプーン状爪異食症(pica)萎縮性胃炎及ぶ.57An Illustrated Reference Guide写真提供:川井 信孝+αもっとわかる 組織への鉄の供給不足 特徴的な症状・所見●本症では,貧血に共通した症状〔p.47〕に加え,図のような組織鉄欠乏による特徴的な身体所見がある. 鉄欠乏性貧血に特徴的 スプーン状爪(匙状爪)●スプーン状爪(匙さじじょうづめ状爪)は中央部が陥凹して先端が反り返った爪であり,進行した鉄欠乏の徴候である.状爪は母指,示指,中指にみられる頻度が高い. 大小不同の菲薄赤血球 末梢血所見●鉄欠乏性貧血では,中心の陥凹部が拡大したリング状の菲薄赤血球〔p.56W〕がみられる. 末梢血塗抹標本(May-Giemsa染色)菲薄赤血球

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