病3-5版_web立ち読み用
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●下垂体の前葉と後葉は全く別の組織から発生する.●胎生4〜5週頃,口窩(原始口腔)の上壁の一部が脳へ向かって囊状に発育し,ラトケ囊となる.一方,間脳の底部からは漏斗突起が下方へ陥没する.この2つが結合して下垂体となり,それぞれ腺下垂体(前葉)と神経下垂体(後葉)を形成する.●前葉には5種類のホルモン産生細胞(GH細胞,PRL細胞,TSH細胞,ACTH細胞,LH・FSH細胞)が存在する.●下垂体前葉ホルモン産生細胞は共通の幹細胞から形成される.その途中,Pit-1,Prop-1,Tpitなどの転写因子が関与することで異なる種類の細胞に分化する.●免疫染色法を用いて上記5種類のホルモン産生細胞を区別することができる.●視床下部ホルモンは視床下部神経細胞(室傍核,弓状核など)で合成され,下垂体門脈を通って前葉細胞に到達する.その刺激を受けて,前葉細胞から下垂体前葉ホルモンが分泌される〔p.202〕.●下垂体後葉ホルモンは,視床下部神経細胞(視索上核,室傍核)で合成される.長い軸索内を運搬され,後葉に分布する神経終末に貯蔵された後,分泌される〔p.226〕.●後葉は無髄神経線維,神経膠細胞からなる神経組織である.●無髄神経線維は,視床下部の視索上核および室傍核から伸びてきた軸索突起である.その神経終末は後葉の毛細血管壁に近接する.●軸索:axon ●成長ホルモン(GH):growth hormone ●プロラクチン(PRL):prolactin ●甲状腺刺激ホルモン(TSH):thyroid-stimulating hormone ●副腎皮質刺激ホルモン(ACTH):adrenocorticotropic hormone ●黄体形成ホルモン(LH):luteinizing hormone ●卵胞刺激ホルモン(FSH):follicle-stimulating hormone ●Pit-1:pituitary specifi c transcription activator-1 ●Prop-1:prophet of Pit-1 ●Tpit:T-box transcription factor Tbx19 ●転写因子:transcription factor視床下部下垂体疾患視床下部-下垂体総論写真提供:法木 左近写真提供:法木 左近 前葉は腺組織,後葉は神経組織 下垂体を構成する細胞腺組織(下垂体前葉)弱拡大- 前葉と後葉は異なる起源をもつ 下垂体の発生 前葉・後葉のホルモン分泌調節機構の違い 下垂体ホルモンの分泌機構神経下垂体芽間脳底部口窩上壁口腔外胚葉室傍核視索上核視床下部視交叉視神経下垂体門脈下垂体前葉下垂体前葉細胞下垂体前葉ホルモン漏斗突起ラトケ囊乳頭体弓状核視床下部ホルモン漏斗下垂体茎下垂体後葉下垂体後葉ホルモン神経組織(下垂体後葉)発生中の蝶形骨強拡大第3脳室漏斗後葉前葉蝶形骨蝶形骨洞An Illustrated Reference Guide201

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