病3-5版_web立ち読み用
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●食事によって吸収された糖や,肝臓などから放出された糖が血中に流れこみ,全身の組織へと運ばれる.●糖が体内で不足すると,インスリン拮抗ホルモンにより肝臓でのグリコーゲン分解や糖新生が亢進し,糖放出が促進される.(➡血糖上昇)●膵臓から分泌されるインスリンによって,細胞にグルコースが取りこまれる.(➡血糖低下)●余ったグルコースは,グリコーゲンや中性脂肪として貯蔵される.●細胞は,グルコースをエネルギー源として使う.●グルコース/ブドウ糖:glucose ●インスリン:insulin ●肝臓:liver ●筋肉:muscle ●脂肪組織:adipose tissue ●血糖値(BG):blood glucose level ●インスリン拮抗ホルモン:insulin-counter-regulatory hormone●肝臓膵臓糖尿病専門医細胞グルコースインスリンインスリン拮抗血糖が高いとき糖の取りこみ,貯蔵を行う●筋●肝臓●脂肪組織ホルモングリコーゲン肝臓血糖が低いとき糖の放出を行うAn Illustrated Reference Guide ホルモンなどにより調節される 糖の利用●グルコース(ブドウ糖)は生体に最も重要なエネルギー源であり,血中から全身の細胞に取りこまれる.●通常,血中のグルコース濃度(血糖値)は,狭い範囲(70〜140mg/dL)で一定に維持されている.これは,インスリンをはじめとするホルモンや神経系の働きにより,糖の出し入れがきめ細かく調節されているからである.●食後に過剰な糖が存在するときは,インスリンの作用によって肝臓や筋肉でグリコーゲンに変えられたり,脂肪組織で脂肪として貯蔵されたりして,血中から臓器へ取りこまれる.その結果,血糖値は正常域まで低下する.●一方,食間に血糖値が低下してくると,グルカゴンなどのインスリン拮抗ホルモンの作用によって肝臓に貯えられていたグリコーゲンがグルコースに分解され,血中に供給される.その結果,血糖値は正常範囲に保たれる. 筋,肝臓,脂肪組織が重要 インスリンの標的臓器●インスリンによる血糖の調節に関わる臓器として,インスリンを分泌する膵臓の他に,インスリンの標的臓器である筋,肝臓,脂肪組織が重要である.これらの標的臓器は,血糖値を一定に保つために,インスリンなどのホルモンの制御により糖の出し入れを行う.●血糖が高いときにインスリンの作用により糖の取りこみ,貯蔵を行うのは,主に筋,肝臓,脂肪組織である〔p.7〕.一方,血糖が低いときに糖の放出を行うのは,主に肝臓である.監修弘世 貴久河盛 隆造4このように,筋,肝臓,脂肪組織は血糖の調節と密接に関わっているため,2型糖尿病の病態を考えるうえで,インスリンを分泌する膵臓とともに特に重要な臓器といえます.糖代謝異常糖代謝総論

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