病3-5版_web立ち読み用
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●老年症候群:geriatric syndrome ●フレイル:frailty ●サルコペニア:sarcopenia ●ロコモティブシンドローム/運動器症候群:locomotive syndrome ●CHS基準:Cardiovascular Health Study index ●J-CHS基準:Japanese CHS index●孤独●閉じこもりなどル●うつ●認知機能低下など神・心理的フレイル●過栄養による肥満が健康課題とされる一方で,高齢者では,加齢に伴う生理的変化(味覚の変化や咀嚼・嚥下機能の低下など)や活動低下によって食欲が低下し,低栄養となりやすい.●低栄養は骨格筋量の低下を招き,基礎代謝量,身体活動量を低下させ,さらなる低栄養を助長する.その結果,フレイルやサルコペニアといった要介護リスクの高い状態に陥りやすくなる.このような,要介護につながりうる高齢者特有の症候を総称して,老年症候群という.●一度要介護状態になると,健常状態への回復が極めて困難となる.そのため,できるだけ早期から適切な栄養摂取(十分な蛋白質摂取など)や運動などの介入を行い,要介護状態を予防することが重要である.●フレイルは,身体的,精神・心理的,社会的な脆弱性を含む多面的な概念であり,次の図のように分類されることがある.●フレイルの発症には様々な要因が関与するため,個人の身体機能や認知機能,精神面を考慮して疾患治療や栄養管理を行うなど,多面的な介入が必要である.予備能力精要介護につながりうる,高齢者特有の症候の総称.ここでは,老年症候群のうちフレイルとサルコペニアについて説明する.身体的,精神・心理的,社会的な脆弱性を包含する.要介護リスクは高いが,健常状態へ回復可能な段階である.健常状態加齢低栄養の進行要介護リスクの高い状態(フレイル,サルコペニアなど)要介護フレイルの多面性生理的変化など荒井秀典 他 編:フレイル診療ガイド2018年版.ライフ・サイエンス,2018,p.5より改変An Illustrated Reference Guide健常状態日本版CHS基準(J-CHS基準)項目体重減少筋力低下疲労感歩行速度身体活動3つ以上該当:フレイル,1〜2つ該当:プレフレイル森野 勝太郎フレイル要介護状態回復困難回復可能身体的フレイル●サルコペニア●ロコモティブ・シンドローム など社会的フレイ評価基準6ヵ月で2〜3kg以上の体重減少握力:男性<26kg,女性<18kg(ここ2週間)訳もなく疲れたような感じがする通常歩行速度<1.0m/秒❶軽い運動・体操をしていますか?❷定期的な運動・スポーツをしていますか?上記の2つのいずれも「週に1回もしていない」と回答監修藤田 聡138 健常状態と要介護状態の中間に位置する フレイル●フレイルとは,「加齢に伴う予備能力〔p.136〕低下や機能変化のため,外的ストレスに対する脆弱性が増加した状態」を表す“frailty”の日本語訳として,日本老年医学会が提唱した用語である.●健常状態と要介護状態の中間に位置し,放置すれば要介護状態になりやすいが,適切な介入によって健常状態に回復可能な段階である. 5つの項目で評価する フレイルの診断基準●フレイルの診断基準は現時点で統一されていないが,わが国では,Friedらが唱えたフレイル診断法であるCHS基準をもとに作成された日本版CHS基準(J-CHS基準)が主に用いられている. ●J-CHS基準では,次の表に示す5項目について,評価基準に3つ以上該当した場合にフレイルと診断する.なお,1〜2つ該当した場合は,フレイルの前段階である「プレフレイル」と診断する.老年症候群 高齢者の低栄養に要注意 要介護となる危険因子フレイル過栄養と低栄養老年症候群

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