病13-1版_web立ち読み_201201
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●耳小骨は外側からツチ骨,キヌタ骨,アブミ骨の順に連鎖しており,それぞれの一部が観察される.●ツチ骨ヒダに包まれていた鼓索神経はツチ骨とキヌタ骨の間を走っている.●鼓索神経は顔面神経(Ⅶ)の枝で,鼓室神経は舌●ツチ骨外側突起により鼓膜が外側へ押し出されることでできるヒダをツチ骨ヒダといい,鼓膜を上下に弛緩部と緊張部に分けている.●ツチ骨柄の下端は鼓膜臍とよばれ,内側に陥凹している.●耳鏡で観察すると,鼓膜臍の前下方に光の反射する部位が見え,これを光錐という.●光錐の位置は鼓膜の緊張の評価に有用であり,鼓膜が弛緩すると●他に耳小骨筋の腱や蝸牛窓小窩などが見られる.●薄く,鼓室内圧の影響を受けやすい.●2層からなり,外側は外耳道から続く皮膚からなる皮膚層,内側は中耳粘膜の一部である粘膜層である.●緊張部の組織は3層からなり,外側の皮膚層と内側の粘膜層の間に弾性線維に富む固有層がある.●鼓室は鼓膜と骨壁に囲まれた腔であり,中に耳小骨,耳小骨筋,鼓索神経,●鼓膜は臨床的にはツチ骨柄の延長線と鼓膜臍で垂直に交わる線で4つに分割され,所見の記載に用いられる〔p.27〕.●鼓室は臨床的に鼓膜上端より上方の上鼓室,鼓膜レベルの中鼓室,鼓膜下端より下方の下鼓室の3つに分けられる.●上鼓室には乳突洞口〔p.9〕がある.●上〜下鼓室の前面を前鼓室とする場合があり,前鼓室には耳管が開口している.●鼓室は耳小骨が音を効率的に伝達するための空間を維持している.●耳管により咽頭鼻部と交通しているため,感染を起こしやすい.*蝸牛管の基底回転部(起始部)により,鼓室に生じた隆起.●鼓膜:tympanic membrane/eardrum ●後ツチ骨ヒダ:posterior mallear fold ●前ツチ骨ヒダ:anterior mallear fold/anterior fold of malleus ●ツチ骨柄:neck of malleus ●光錐:triangular light refl ex ●緊張部:pars tensa ●弛緩部:pars fl accida ●鼓索神経:chorda tympani/chorda tympnani nerve ●キヌタ骨:incus/anvil ●アブミ骨:stapes ●鼓室神経叢:tympanic plexus ●蝸牛窓小窩/正円窓小窩:ossula of round window/round window nicheAn Illustrated Reference Guide●鼓膜は外耳と中耳を隔てる長径約9mm,短径約8.5mm,厚さ約0.1mmの楕円●鼓膜には外耳道からの音波を耳小骨へ伝える働き以外に,蝸牛窓に音が作用するツチ骨外側突起鼓膜張筋の腱ツチ骨柄鼓室神経叢耳管下鼓室下鼓室外耳道から見た鼓膜(右)見えなくなる.前方から見た鼓膜(右)ツチ骨柄前方から見た鼓室(右)鼓索神経耳小骨筋(鼓膜張筋)の一部鼓膜鼓膜を除去した中耳(右)鼓索神経キヌタ骨アブミ骨アブミ骨筋の腱蝸牛窓小窩前ツチ骨ヒダツチ骨ツチ骨外側突起外側突起ツチ骨柄ツチ骨柄光錐光錐咽神経(Ⅸ)の枝である.弛緩部粘膜層緊張部鼓室の臨床的区分(右)上鼓室中鼓室中鼓室鼓膜6第111回医師国家試験I7 外耳から音波を受け取る膜 鼓膜 耳小骨などを含んだ空間 鼓室形の膜であり,外耳から見ると前下方に傾いて見える.のを防ぐ蝸牛窓遮蔽効果や,外界からの感染防御などの働きがある.後ツチ骨ヒダ弛緩部鼓膜臍緊張部皮膚層皮膚層固有層粘膜層鼓室神経叢などがある.小錐体神経顔面神経前庭窓こうかく岬角*鼓室神経叢蝸牛窓鼓室神経耳管

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