病13-1版_web立ち読み_201201
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延髄●反回神経の走行は左右で異なり,大動脈弓をくぐる左側の方が長いため,より障害されやすい.●反回神経麻痺の原因には,上気道炎に続発する神経炎,頸部・胸部の腫瘍の浸潤や圧迫,手術による損傷,気管挿管(カフによる圧迫)などがある.●胸部●喉頭麻痺の原因には,反回神経麻痺の他にも筋萎縮性側索硬化症(ALS)〔病⑦p.332〕などの中枢神経障害や,頸静脈孔症候群〔p.312〕などの迷走神経障害などがある.●嗄声:hoarseness/hoarse voice ●呼吸困難:dyspnea ●反回神経/下喉頭神経:recurrent〔laryngeal〕nerve/inferior laryngeal nerve ●最長〔持続〕発声時間(MPT):maximum phonation time ●声帯固定:vocal fold fi xation/vocal cord fi xation ●迷走神経:vagus nerve ●筋萎縮性側索硬化症(ALS):amyotrophic lateral sclerosis●通常,反回神経麻痺は誤嚥が生じても2〜3週間以内で軽快する.そのため,長引●治療の決定には喉頭内視鏡だけでなく,問診や聴診による嗄声の評価(GRBAS尺●ビタミンB12は末梢神経を構成する核酸やリン脂質を増加させ,神経を修復する.最長持続発声時間(MPT) 喉頭麻痺(声帯麻痺) 〔p.310〕皮質連合野〜内喉頭筋の経路の種々の病変により起こる,声帯の神経原性運動障害.原因は頭蓋底骨折,頭頸部腫瘍,反回神経麻痺など多岐にわたる.声帯固定 混合性喉頭麻痺 〔p.310〕喉頭麻痺に加えて他の脳神経障害の症状を伴う疾患の総称.An Illustrated Reference Guiderecurrent nerve paralysis疑核頸静脈孔舌咽神経(Ⅸ)副神経(Ⅺ)迷走神経(Ⅹ)上喉頭神経喉頭反回神経大動脈弓反回神経の障害の原因●頸部■上気道炎■手術(特に甲状腺)■気管挿管■甲状腺癌 など■手術(心臓,肺など)■食道癌■肺癌■大動脈瘤  など監修多田 靖宏310〔p.310〕ひと息で連続して発声できる最長時間.息を吸いこんで,完全に吐き終わるまで発声させる.声門閉鎖不全がある場合,MPTの短縮がみられる〔p.361〕.〔p.310〕神経障害や物理的な原因で声帯の可動性が消失した状態で,固定位置により症状が異なる.腫瘍による声帯の圧排,外傷による披裂軟骨の脱臼や輪状披裂関節の固着などでは,反回神経に問題がなくても声帯固定が起こりうる.G52.2➡反回神経麻痺を考える.治療原則として,原因疾患の治療後に治療方針を決定する.⒈片側性の場合,反回神経は迷走神経の分枝で,声帯の運動に関与しており神経炎や頸部・胸部の手術などにより障害されると喉頭麻痺が生じる.片側性反回神経麻痺と両側性反回神経麻痺に分けられる.く場合は混合性喉頭麻痺を疑う.度など),喉頭ストロボスコピー〔p.290〕,空気力学的検査〔p.361〕が重要である.右鎖骨下動脈腕頭動脈声門開大手術(Eエイネルjnell手術,披裂軟骨摘出術)を行う.末梢血管拡張薬など〈声帯固定〉 左側が障害されやすい 原因●反回神経は迷走神経(Ⅹ)の分枝であり,声帯運動などを司る.intro.MINIMUM ESSENCE❶原因:神経炎,頸部・胸部の手術,腫瘍による神経損傷❷嗄声,MPT短縮,嚥下障害,誤嚥,呼吸困難(両側正中位固定のとき),❸喉頭鏡や喉頭内視鏡で声帯の運動障害がみられる. a.保存療法(発症から約6ヵ月以内): 音声治療,ビタミンB12,b.手術療法:声帯内注入術,声帯内方移動術など⒉両側性の場合,a.保存療法:片側性と同様の治療を行う.b.手術療法: 保存療法後も高度な呼吸困難が残存するとき,※呼吸困難が高度な場合は気管切開を行う. 反回神経麻痺

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