病13-1版_web立ち読み_201201
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耳疾患真珠腫性中耳炎●真珠腫に細菌感染が起こり,拡大・●さらに周囲の骨破壊が進行する.●鼓室ポケット内に角化上皮が蓄積し,●真珠腫による骨破壊が起きる.●鼓膜が鼓室内に引っぱられ鼓室ポ●中耳内に真珠腫による軟部組織陰影がみられる.●鼓膜弛緩部に真珠腫の付着が確認できる.●顔面神経,鼓索神経障害●内耳障害(瘻孔症状,感音難聴)など●真珠腫の増大,進展は上下,左右様々な方向に起こるため,骨破壊が生●頭蓋内方向へ骨破壊が進展していけば頭蓋内合併症が起こり(❶),半規 顔面神経内耳神経●髄膜炎●脳膿瘍●硬膜静脈洞血栓症など ●弛緩部型真珠腫:pars fl accida cholesteatoma ●コンピュータ断層撮影(CT):computed tomography ●髄膜炎:meningitis ●脳膿瘍:brain abscess ●内耳障害:inner ear dysfunction●真珠腫性中耳炎は中耳内にできた真珠腫(角化上皮の層状堆積物)に細菌感染が伴うことで生じる.●大部分を占める後天性真珠腫〔p.82〕では,耳管機能障害や中耳の慢性炎症により鼓室内が陰圧になることで,一部の鼓膜表皮(特に鼓膜弛緩部)が陥凹し鼓室ポケットができる(❶).そこに角化上皮が蓄積,真珠腫を形成し,圧力などにより骨破壊をきたす(❷).●真珠腫への細菌感染により産生された酵素や,拡大・増殖した真珠腫の圧力などにより,さ●側頭骨CTは最も重要な検査とされており,真珠腫に伴う異常軟部組織や骨破壊の程度,乳突蜂巣の発育度などの有用な情報を得ることができる.81An Illustrated Reference Guide角化上皮による真珠腫の形成細菌感染脳実質鼓室顔面神経管後天性真珠腫(弛緩部型)●❶鼓室内陰圧冠状断,右側部頭蓋内鼓室ポケット鼓膜が引っぱられる外耳道鼓膜●耳管機能障害により耳管機能障害鼓室内が陰圧になる.ケットが形成される.で鼓膜所見を確認すること.耳鏡所見左鼓膜,弛緩部型弛緩部の真珠腫鼓膜真珠腫の伸展と合併症冠状断,右側部●❶頭蓋内合併症 骨破壊などをみる CT像左側頭骨CT像水平断●❸真珠腫の増大さらなる骨破壊細菌感染した真珠腫増殖する.中耳に軟部組織陰影半規管●❷側頭骨内合併症耳管 拡大・増殖と骨破壊 病態 真珠腫を確認 鼓膜所見●真珠腫性中耳炎を疑ったらまず,耳鏡検査 真珠腫の増大・進展による 合併症らに骨破壊が進行する(❸).●❷真珠腫形成骨破壊陰圧鼓室耳管真珠腫を形成する.じた部位,進展度によって様々な合併症が起こる.管方向へ進展していけば側頭骨内合併症が起こる(❷).髄膜硬膜静脈洞外耳道真珠腫鼓索神経鼓膜

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