病みえ12-1版_1刷_立ち読み
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●咽頭結膜熱(PCF):pharyngoconjunctival fever ●結膜炎:conjunctivitis●潜伏期前後での感染者との接触の有無を確認することも,診断の助けとなる.●確定診断は,EKCと同様に結膜擦過物を用いた抗原検出や,ウイルスの遺伝子検出,●抗菌薬は,EKCと同様の理由から〔p.70〕■■■■■■■■■属菌に有効なマクロライド系薬●眼症状以外の症状に対して,対症療法を行うこともある.●PCFは学校感染症の第2種である.主要症状消退後2日を経過するか,あるいは学結膜疾患ウイルス性結膜疾患●結膜充血,流涙,漿液性眼脂などがみられる.●流行性角結膜炎と比べて,濾胞の形成は軽度.●上記の症状の他,腹痛,下痢,食欲不振,全身倦怠感といった全身症状が●プールの水を介して感染することが多い(プール熱ともよばれる).●耳前リンパ節腫脹もみられる.●流行性角結膜炎と比べて,角膜所見がみられることは少ない.●潜伏期間を経て,発熱で発症する.●小児の感染が多いが,成人でも起こりうる.小児期に上記の型のウイルスに感染したことがある人が成人になって同じ型のウイルスに再度感染した場合,症状は一般的に軽く,1週間程度で自然治癒する(初感染であれば強い結膜炎症状がみられる).71An Illustrated Reference GuideB30.2写真提供:岡野 敬➡咽頭結膜熱(PCF)を考える.治療アデノウイルスに対する抗ウイルス薬はなく,細菌の混合感染防止のために抗菌薬点眼を行う.アデノウイルス(主に3,4,7,11,14型)によるウイルス性結膜疾患.結膜炎症状は軽度だが,眼症状以外の症状(発熱や咽頭炎など)が合併する.ウイルスの分離などが行われる〔p.70〕.あるいはニューキノロン系薬が用いられる.校医,その他の医師から感染のおそれがないと認められるまで,出席停止となる.みられる.〈眼症状〉〈眼外症状〉 発熱,咽頭炎,結膜炎 症状・所見●咽頭結膜熱は,主にアデノウイルス3型(その他に4,7,11,14型)により生じる.●6月頃から徐々に流行が始まり,7〜8月にピークを迎える.近年では冬にも小規模な流行がみられる.潜伏期5〜7日発熱,頭痛咽頭痛(咽頭炎による)監修横倉 俊二結膜炎症状眼瞼結膜充血intro.MINIMUM ESSENCE❶小児に好発.❷潜伏期5〜7日の後,発熱で発症し,❸その後,結膜炎, ❹咽頭炎,頭痛,腹痛,下痢などを認め, ❺これらの症状が一週間ほど続く.PCF:pharyngoconjunctival fever咽頭結膜熱(PCF)

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