病みえ11-2
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●脊髄損傷(SCI):spinal cord injury ●高エネルギー外傷:high energy injury/high energy trauma ●膀胱直腸障害:bladder-bowel disturbance/vesio-rectal disturbance ●非骨傷性脊髄損傷:spinal cord injury without bone injury ●脊髄ショック:spinal shock ●神経原性ショック:neurogenic shock ●麻痺性イレウス:paralytic ileus ●球海綿体反射:bulbocavernous refl ex ●肛門反射:anal refl ex ●アメリカ脊髄損傷協会(ASIA):American Spinal Injury AssociationAn Illustrated Reference Guide●加齢による骨強度の低下●骨粗鬆症〔p.438〕の合併●交通事故●高所からの転落・墜落(自●交通事故や高所からの転落・墜落などの高エネルギー外傷の他,加齢や骨粗鬆症などにより骨強度が低下した患者では転倒などの軽微な外力で生じることもあり,70歳代に多い.●脊椎の脱臼骨折や破裂骨折に伴って起こることが多いが,骨折の程度と脊髄損傷の重症度は必ずしも一致しない.●四肢の運動麻痺・●膀胱直腸障害●高齢者などでは,非骨傷性脊髄損傷〔p.246W〕がみられることがある.⬇…●脊髄ショックでは,弛緩性麻痺〔p.246W〕や反射の消失,神経原性ショック,麻痺性イレウスなどを呈する.●脊髄ショック離脱の判断は,球海綿体反射〔p.246W〕または肛門反射〔p.52〕で行う.●障害レベル以下の全ての脊髄機能が消失する.頸髄損傷の場合246key muscle 〔p.247〕ASIA(アメリカ脊髄障害協会)が定めた,上肢5髄節(C5-T1)および下肢5髄節(L2-S1)の10髄節における各髄節の主要な筋のこと.〔p.246〕脊椎損傷のない脊髄損傷のこと.高齢者の加齢性変化などにより脊柱管が狭くなり,すでに脊髄が軽い圧迫を受けている場合に,転倒などの軽微な外力で起こる.〔p.247〕上位運動ニューロン(錐体路)の障害により生じる運動麻痺.痙縮,腱反射亢進,病的反射〔p.52〕をきたす.筋を他動的に屈曲または伸展させると強い抵抗がみられ,さらに続けると抵抗が消失する(折りたたみナイフ現象〔p.46〕).S14.0,S14.1S24.0,S24.1S34.0,S34.1高エネルギー外傷〔p.301〕などを原因として生じる脊髄の損傷で,頸髄損傷が大半を占める.運動麻痺や感覚障害だけでなく,循環器障害や呼吸器障害,膀胱直腸障害なども呈するため,厳密な全身管理が必要となる.治療と並行して,できるだけ早期からのリハビリテーションも重要である.+αもっとわかるintro. 運動麻痺や感覚障害を引き起こす 原因と病態●脊髄損傷とは,脊柱管内にある脊髄が損傷することであり,損傷した高位や部位によって運動麻痺や感覚障害などを引き起こす. 脊髄ショックと運動麻痺・感覚障害 症状の経過●重度の脊髄損傷では,受傷直後に一時的な脊髄機能不全(脊髄ショック〔次項〕)を呈し,数日〜数週間が経過した後に運動麻痺・感覚障害などが顕著になる.●脊髄ショックに陥っている間は運動麻痺の評価は困難であるため,脊髄ショック離脱後に改めて評価を行う. 受傷後の一時的な脊髄機能不全 脊髄ショック●重度の脊髄損傷後,一時的に障害レベル以下全ての脊髄機能を消失した状態を脊髄ショックという.監 修大谷 晃司非骨傷性脊髄損傷球海綿体反射 〔p.246〕男性では陰茎亀頭を,女性では陰核を指でつまむことでみられる反射.肛門括約筋や会陰部の筋が収縮するのを視診または肛門に指を挿入して評価する.括約筋筋電図を測定することで精度を上げることができる.末梢神経や仙髄の障害が認められるときに行われるが,女性では正常でも陰性となりやすい.弛緩性麻痺 〔p.246〕下位運動ニューロンの障害により生じる運動麻痺.筋緊張の低下と腱反射の消失をきたす.筋を他動的に動かしても抵抗が極めて少ない.痙性麻痺 高エネルギー外傷殺企図など)●スポーツ外傷(プールの飛びこみ,スノーボードなど)●労働災害脊髄損傷感覚障害 など受傷一時的な脊髄機能不全脊髄ショック麻痺性イレウス反射の消失軽微な外力脊髄損傷脊髄椎間板椎体棘突起脊椎損傷の合併数日〜数週間後損傷した脊髄の高位や部位に応じた運動麻痺や感覚障害運動麻痺・感覚障害脊髄ショック神経原性ショック(血圧➡,心拍数➡)膀胱の弛緩・拡張弛緩性麻痺脊髄損傷

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