病10-4版_立ち読み
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●催奇形性:teratogenicity ●器官形成期:organogenic period ●胎児毒性:fetotoxicity ●非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):non-steroidal anti-infl ammatory drugs ●アンジオテンシン変換酵素(ACE):angiotensin converting enzyme ●アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB):angiotensinⅡ receptor blocker ●抗菌薬:antibacterial drug ●ワルファリン:warfarin ●エトレチナート:etretinate●また,これらの薬物が羊水を減少させてしまい,胎児の生活環境を悪化させることも,胎児毒性の1つと考えられる.●出産直前の時期における薬物投与により,新生児に薬●催奇形性が問題となるのは,妊娠4〜15週の妊娠初期である.この時期は器官形成期であり,薬物により奇形を生じる可能性が高い.●妊娠初期の中でも,薬物による催奇形性の危険性が最も高いのは,臨界期(critical period)または絶対過敏期とよばれる妊娠4〜7週である.●薬物の胎児への影響は,妊娠時期による違いがあり,妊娠初期では催奇形性,妊娠中期・末期では胎児毒性が問題となる.●一般集団において,出生時に何らかの形態異常が認められる頻度は3〜5%とされており,妊娠初期の薬物使用がなく●妊娠中の薬物使用,催奇形性の説明を行う際には,この頻度と比較してどの程度上昇する可能性があるのかを説明する.●化学物質●薬物 ●放射線 ●ウイルス など●臨界期以前の妊娠初期では“all or noneの法則”により,薬剤の影響が胎児に全く残らないか,流産するかのいずれかになるため,胎児奇形の可能性はほぼない.産褥妊娠・授乳と薬剤●妊娠16週(5ヵ月)を過ぎると薬物による催奇形性よりも胎児毒性の影響の方が大きくなり,胎児に腎機能障害などの機能異常や発育不全をきたす可能性が高くなる.●経口血糖降下薬●ワルファリン など●妊娠4〜7週には中枢神経,心臓,消化器,四肢などの主要臓器が形成される.催奇形性に対して感受性が最も高い時期(臨界期〔絶対過敏期〕)である.●一部の抗菌薬●リバビリン●エトレチナート●影響が胎児に全く残らないか,流産するかのいずれかになる.●例外として下記のような残留性の高い薬物は,この時期の投与であっても器官形成期まで影響し,胎児奇形をきたす可能性がある.●リバビリン●エトレチナート など●NSAIDs●経口血糖降下薬●ACE阻害薬・ARB●ワルファリン など●8週以降も外性器の分化や口蓋形成が行われており,薬物によって各器官系に奇形をきたす可能性がある.385An Illustrated Reference Guide第1月21all or noneの法則第2月56034大39 妊娠初期に問題となる 催奇形性●催奇形性とは,胎児に奇形(形態異常)を生じさせる性質のことである.催奇形性をもつものとして,薬物,化学物質,放射線,ウイルスなどが知られている〔p.26〕. 催奇形性と胎児毒性が問題となる 妊娠週数による薬物の影響の違い 妊娠中期以降に問題となる 胎児毒性●妊娠16週(5ヵ月)を過ぎると薬物による奇形は起こらなくなり,むしろ胎児への毒性の方が問題となってくる.●胎児毒性とは,胎児の臓器機能や発育そのものを障害する性質のことである.臓器障害としては,NエヌセイズSAIDsによる動脈管収縮・狭窄・閉鎖や,ACE阻害薬・ARBによる腎機能障害などが有名である.物離脱症状がみられることがある.妊娠16週以降外性器の分化・口蓋形成大催奇形性の影響催奇形性の影響薬剤機能異常発育の阻害羊水過少などの子宮内環境の悪化………胎児の発育〜出産胎児毒性の影響奇形の原因臨界期(妊娠4〜7週)器官形成期 妊娠4〜15週妊娠月数妊娠週数最終月経主なイベント薬物の影響問題となる薬物の一例ても一定の頻度で認められるものである.排卵・受精主要臓器の形成(臨界期)第3〜4月………78器官形成期第5〜10月1516

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