病10-4版_立ち読み
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●妊娠高血圧症候群(HDP):hypertensive disorders of pregnancy ●絨毛膜羊膜炎(CAM):chorioamnionitis ●播種性血管内凝固(DIC):disseminated intravascular coagulation ●前期破水(PROM):premature rupture of the membranes●急性早剝では,生じた出血や凝血塊が隣接する胎盤を順次剝離させていくことで,比較的急速に臨床症状(下腹部痛,内・外出血など)が進行していく.胎児機能不全や母体DICを伴いやすい.●慢性早剝では初期には症状がないか,あっても腹部の違和感のみなどにとどまることが多い.しかし卵膜にも炎症性壊死が波及して脆弱化するため,preterm PROMを生じやすく,その結果,急性早剝となることもある.●わが国の早剝の約50%が妊娠の30〜36週に発症し,その多くは急速遂娩となる.●30〜36週の早産の5%は,早剝が原因になっている.●外傷(交通事故など)は軽度であっても早剝の原因となるので注意する.●外傷直後の発症だけでなく数時間後の発症もある.●従来は,妊娠高血圧症候群(HDP)によるものが大半とされていたが,最近は半数以上が高血圧とは無関係とする報告が多い.●HDP,高血圧と無関係な早剝のうち,特に早産例では絨毛膜羊膜炎(CAM)との関連が注目されている.●危険因子をもっていなくても,原因不明に早剝をきたすこともある.●HDPが原因の場合,DICになりやすいので120An Illustrated Reference GuideHDPCAM HDPが有名 発症のながれ●早剝の発症の原因や病態はいまだ不明な点が多いが,危険因子として次のような基礎疾患や機械的原因が知られている.羊水除去双胎1児娩出後急激に子宮内圧が低下する.急性早剝原因不明注意する〔p.322〕.未知の原因機序不明出血量が少ない剝離面積が少ない慢性早剝早剝と早産基礎疾患によるもの強い子宮収縮が生じる.子宮と胎盤の間にずれが生じることで血管が破綻し出血する.胎盤付着部位に血液が流入し,血腫が形成される.血腫機械的原因によるもの腹部外傷,外回転術前期破水外力が加わる.出血量が多い剝離面積が大きい

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