薬4-1版_立ち読み
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●輪状ひだや絨毛構造はなく,表面積が小さいため,薬物吸収の役割は小腸よりも小さい.●上部では水や電解質の吸収を,下●大腸内には数多くの微生物が存在しており,薬物の代謝に関わるものもある〔p.123〕.●非撹拌水層や薬物輸送トランスポーターなどの存在により,pH分配仮説が当てはまらないことがある〔p.66〕.●十二指腸には,膵臓から膵液が,胆囊から胆汁が分泌されており,薬物の吸収に影響を与えている.*小腸の本来の全長は約6mだが,筋肉による収縮で2〜3mまで縮んでいる.●絨毛構造はなく,表面積が小さい.また,薬物の胃内の滞留時間は短い.これらの理由から,薬物吸収への寄与率は小腸よりも小さい.●胃腺には様々な分泌細胞が存在する.主細胞からはペプシノーゲン,壁細胞からは内因子や胃酸(塩酸),副細胞からは粘液,G細胞からはガストリンが分泌されており,食物や薬物を分解している.胃胃胃 ●直径:約5〜7cm●全長:約1.5m●表面積:約0.2〜2m2●pH7.5〜8●直径:約4cm●全長:2〜3m*●表面積:約30〜200m2●十二指腸 :pH5〜6●空腸 :pH6〜7●回腸 :pH6〜7.5※十二指腸のpHは食事により4程度●容積:約1.3L●表面積:約0.09m2●空腹時:pH1〜3●ペプチド医薬品を経口投与すると,胃や小腸に存在するタンパク質分解酵素(胃液,膵液に含まれる)により,吸収される前に大半が分解される.一方,大腸においては,小腸と比較してタンパク質分解酵素の活性が低く,ペプチド医薬品の吸収に有利と考えられるため,薬物を大腸へ特異的に届ける大腸特異的送達法の研究が進められている.●肝臓で生成され胆囊から分泌される胆汁は,脂溶性薬物などの難溶性薬物を溶解しやすくする.●本書では,これらの吸収部位のうち,小腸について主に解説する.Pharmacology vol.4 : An Illustrated Reference Guide十二指腸盲腸まで低下する.●薬物吸収の主要部位である.●絨毛が発達しているため,非常に表面積が大きく,物質の吸収効率が良い.かくはん大腸横行結腸上行結腸下行結腸回腸S状結腸盲腸肛門直腸略語●ガストリン分泌細胞(G細胞):gastrin-secreting cell74pH 小腸が主要な吸収部位 経口薬の吸収部位●消化管は,口腔→咽頭→食道→胃→小腸→大腸→肛門と,1本の管になっている.口腔・咽頭・食道・肛門は,物理刺激に強い重層扁平上皮細胞に,胃・小腸・大腸は物質の吸収と分泌をつかさどる単層円柱上皮細胞に覆われている〔薬③p.2〕.●経口薬の薬物吸収は主に単純拡散〔p.64〕により行われるため,主な吸収の場は,単層円柱上皮細胞に覆われている胃・小腸・大腸である.なかでも,表面積が非常に大きい小腸が薬物吸収の主要部位である.●胃・小腸・大腸はそれぞれ表面積,粘液量,pH,酵素活性などが異なるため,吸収効率や吸収されやすい薬物が異なる.部位食道噴門幽門構造十二指腸大きさ※食事によりpH5程度まで上昇する.特徴小腸空腸(口側2/5)回腸(肛門側3/5)部では糞便の貯蔵を行っている.経口薬の吸収

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