薬4-1版_立ち読み
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●致死作用が現れる用量.●好ましくない有害な作用(中毒作用)が現れる用量.●薬物の用量の対数値を横軸に,特定の生体反応(主作用,中毒作用,致死作用)を生じる個体(患者,実験動物など)の割合を縦軸にとると,いずれの反応もS字状の曲線(シグモイド曲線)となる.これを用量-反応曲線という.●投与の目的となる有益な作用(主作用)が現れる用量.●目的とする作用が現れ反応個体の割合*中毒作用が現れない最大の用量を指すこともある.●一般に,臨床ではED50に近い用量が治療に用いられる.●この他の指標として,最大効果の半分の効力を示す血中モル濃度である50%有効濃度(EC50)がある.●これらのグラフを示す式や定義はp.41以降の『薬力学の理論』の章を参照のこと.●薬物の用量(投与量)が多くなり,標的部位における薬物濃度が高まるほど,薬物と標的分子が結合する確率が高まり,薬理作用が強く現れやすくなる.●しかし,用量が多すぎると,極端に強い作用や,目的の薬理作用を発する標的分子以外に結合することによる意図しない作用が現れ,患者に害を及ぼすことがある.そのため,用量と作用の関係を理解し,薬を使用する際には多すぎず少なすぎない適量を用いることが重要となる.●薬物の用量は,示す作用によって次の4つに大きく分類される.標的分子はどこだ〜?(%)10050%有効量(ED50)見つけた!標的部位以外で作用しちゃおう!50%中毒量(TD50)標的分子にくっつきすぎたかな?作用が強すぎるかな?log[薬物用量]50%致死量(LD50)投与量が重要 用量の分類有効量を求めるために必須 用量-反応曲線薬物の用量中毒量有害な作用が発現中毒量集団内の半分の個体に中毒作用が現れる用量dose ●50%有効濃度(EC50):50% eff ective concentrationPharmacology vol.4 : An Illustrated Reference Guide略語●50%有効量(ED50):50% eff ective dose ●50%中毒量(TD50):50% toxic dose ●50%致死量(LD50):50% lethal 少多?…?06致死量死亡致死量最小致死量(最大耐量)致死作用が現れ始める用量集団内の半分の個体が死に至る用量開発担当者50無効量薬物標的分子何も起こらないない用量.無効量最小有効量主作用が現れ始める用量集団内の半分の個体に主作用が現れる用量一般的に薬は,基礎研究(薬物候補化合物の創製)→前(非)臨床試験(細胞,実験動物での有効性や安全性の確認)→臨床試験(治験)を経て作られますが,上記の各種用量は前臨床試験で求められます.臨床試験では,前臨床試験で得られたデータを元に,まずは安全性が高い少量(LD50の1/600以下の量など)をヒトに投与し,段階的に増量することで安全かつ有効性の高い用量を探っていきます.有効量(治療量)目的の作用が発現有効量(治療量)最大有効量最小中毒量主作用が頭打ちとなる用量*中毒作用が現れ始める用量

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