薬4-1版_立ち読み
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●アルブミンとの結合率が高い●分布容積(■d)が小さい相互作用相互作用➡●エチニルエストラジオール・ノルエチステロン配合:シンフェーズ ●エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合:アンジュ,トリキュラー ●デソゲストレル・エチニルエストラジオール配合:マーベロン ●リボフラビン酪酸エステル:ハイボン 略語●胃内容排出速度(GER):gastric emptying rate ●血液脳関門(BBB):blood-brain barrier ●血液脳脊髄液関門(BCSFB):blood-cerebrospinal fl uid barrier●この他,血漿タンパク質における非競合阻害〔p.96〕により遊離形分率が増加することがある.●また,血液脳関門(BBB)〔p.98〕や血液脳脊髄液関門(BCSFB)〔p.99〕の機能を担うトランスポーターにおいて,複数の薬物の間で競合阻害を生じた場合に,脳に分布する薬物量が変動する場合がある.詳細は,p.209を参照のこと.影響を受ける薬物の特徴●アルブミンとの親和性(結合力)が低い→他の薬物によりアルブミンとの結合が阻害されやすい.→アルブミンとの結合が少し阻害されるだけで,遊離形分率が大きく変動する.→元々組織へ移行しにくいため,遊離形分率が少し増えるだけで組織へ移行する薬物の割合が大きく変動する.単独投与時結合形薬物アルブミン遊離形薬物組織影響を与える薬物の特徴●アルブミンとの親和性が高い→他の薬物とアルブミンとの結合を阻害しやすい.併用時+競合阻害→親和性が低い薬物は親和性が高い薬物に押しのけられる(血漿タンパク結合置換)組織への移行量⬆シトクロムP450の阻害併用薬代謝阻害代謝代謝速度⬇このような相互作用が生じるかどうかは,併用した各薬物のアルブミンとの親和性が,相対的にどれくらい異なるかによって決まります.ある薬物との併用によって「影響を受ける薬物」となるものが,他の薬物と併用すると「影響を与える薬物」になる場合もあります.また,投与量が少ないとアルブミンの結合部位を薬物が奪い合うことはないので,血漿タンパク結合置換は生じません.薬学者シトクロムP450の誘導併用薬シトクロムP450⬆代謝促進代謝代謝速度⬆Pharmacology vol.4 : An Illustrated Reference Guide205主に血漿タンパク質との結合の変動による 分布過程の相互作用●分布の過程で生じる相互作用は,主に血漿タンパク質(主にアルブミン〔p.91〕)と薬物との結合が競合することにより生じる.●血漿タンパク質に結合する薬物同士を併用すると,血漿タンパク質との親和性が低い薬物の遊離形が増加し,単剤で投与した場合よりも分布(組織へ移行)しやすくなる.この相互作用を血漿タンパク結合置換とよぶ.●遊離形薬物の増加により標的部位での作用が一時的に増加し,薬理作用が過剰になることがある.しかし,遊離形薬物は腎臓,肝臓などから消失するため,臨床上,血漿タンパク結合置換が問題となることは少ない.●ただし,ワルファリンなどの治療域が狭い薬物〔p.192〕は,一時的な移行量増加でも注意が必要である.相互作用の中で最も生じやすい 代謝過程の相互作用●薬物は,主に肝臓に存在するシトクロムP450〔p.105〕により代謝される.併用薬の影響を受け,シトクロムP450が阻害,もしくは誘導されると,代謝速度が変動することがある.●相互作用の中で最も頻度が高いのは代謝過程における相互作用といわれており,特に注意が必要なポイントとなっている.単独投与の場合薬物シトクロムP450代謝

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