薬みえ3-2
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+ ●胆道がん(胆囊がん,肝外胆管がん,十二指腸乳頭部がん)の唯一の根治療法は手術療法であるため,切除の可否の判定が最も重要である.●CDDPは低用量であるが,長期間施行時には毒性の蓄積により神経障害や腎障害をきたす場合があるため注意する.●目安として,CDDPの総投与量が400mg/m2に達した際(8コース目)の神経障害や腎障害の有無などから,継続の可否を判断する.●CDDPの代わりにテガフール・ギメラシル・オテラシル(S-1)を用いるGS療法や,GEM,CDDP,S-1の3剤を併用するGCS療法も,一次治療で選択される.●手術療法が唯一の根治治療であるため,切除可能であれば,手術を行う.●切除不能な場合は根治を目指すことは難しく,胆道ドレナージや延命・緩和目的の治療が中心となる.●肝転移,肺転移,骨転移,腹膜播種,傍大動脈周囲リンパ節,腹腔外リンパ節などの遠隔リンパ転移がないなど●肝予備能低下●他臓器転移(遠隔転移),遠切除可能切除不能*有効性が確立されたレジメンはないが,S-1による術後補助薬物療法の有効性が報告されており,今後標準治療となる見込みである.●胆道がんは切除の可否に関わらず閉塞性黄疸〔p.467W〕の原因となり,ときに胆管炎を生じ致命的となりうるため,閉塞性黄疸がある場合は胆道ドレナージ〔病①p.389〕が優先して行われる.●治療方針は,病期の他,全身状態,既往歴・併存症,患者の意思を総合的に検討して決定する.●詳細は,日本肝胆膵外科学会 胆道癌診療ガイドライン作成委員会 編『エビデンスに基づいた 胆道癌診療ガイドライン (改訂第3版)』(医学図書出版)を参照のこと.3週間1コース ⬇ ⬇ ⬇ ⬇ *時期に関係なく発現しうる.主な副作用商品名【ピリミジン代謝拮抗薬】●ゲムシタビン塩酸塩:ジェムザール(注) ●テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合:ティーエスワン(カ,顆,OD) 【プラチナ製剤】●シスプラチン:ランダ(注) 略 語●線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR):fi broblast growth factor receptor ●神経栄養因子受容体チロシンキナーゼ(NTRK):neurotrophic receptor tyrosine kinase ●シスプラチン(CDDP):cisplatin ●ゲムシタビン(GEM):gemcitabine ●クレアチニン(Cr):creatinine ●クレアチニンクリアランス(CCr):creatinine clearancePharmacology vol.3 : An Illustrated Reference Guide+αもっとわかる4681,000mg/m2,点滴静注,day1,8 25mg/m2,点滴静注,day1,8好中球減少間質性肺炎* 手術療法が第一選択 治療方針 一次治療の標準レジメン GC療法●GC療法(ゲムシタビン+シスプラチン)は,切除不能な胆道がんの一次治療における標準的なレジメンである.●他のがんにおけるレジメンに比べてシスプラチン(CDDP)の1回用量が少なく,通常用量のような大量輸液が必須ではないため,外来での実施も可能である.病期(進行度)隔リンパ節転移がある薬物●❶ゲムシタビン(GEM)〔p.357〕●❷シスプラチン(CDDP)〔p.360〕治療法術後補助薬物療法*放射線療法施行回数増悪まで□白血球,血小板,赤血球数が基準範囲である(⬅細胞障害性抗がん薬は骨髄抑制を起こす〔p.414〕)□Cr,CCrを確認し腎機能障害はない(⬅CDDPが低用量であっても腎障害には注意が必要〔p.362〕)□投与前に輸液(1,000mL程度)を行い,投与前後は飲水を励行した(⬅CDDPが低用量のため,輸液も常用量より少ない〔p.364〕)□十分な制吐療法を行っている(⬅CDDPが低用量のため,悪心・嘔吐の中等度リスク扱いで対応可能な場合もある〔p.418〕)□呼吸困難や空咳などはない(⬅GEMは間質性肺炎を引き起こす〔p.357〕)解説確認事項and/or**一次治療ではGC療法やGS療法,GCS療法を行う〔次項〕.二次治療ではフッ化ピリミジン系薬〔p.352〕を中心としたレジメンの他,免疫チェックポイント阻害薬〔p.406〕のペムブロリズマブ,FGFR阻害薬〔p.380W〕のペミガチニブ,NTRK阻害薬〔p.394〕のエヌトレクチニブやラロトレクチニブを用いる場合もある.1コース目2コース目 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 … 21 1 2 …⬇ ⬇ day●❶●❷好中球減少悪心・嘔吐悪心・嘔吐手術療法(臓器切除+リンパ節郭清)※術式は原発部位により異なる薬物療法**など用量・用法

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