薬みえ3-2
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●抗インフルエンザ薬には,ノイラミニダーゼ(NA)阻害薬,RNAポリメラーゼ阻害薬,キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬,M2蛋白阻害薬の4種類がある.●それぞれ,インフルエンザウイルスの増殖に関わるいずれかの過程を阻害することにより,ウイルスの増殖を抑制する.●エンドサイトーシスにより宿主細胞内に取り込まれる.●ウイルスの赤血球凝集素(HA)が,宿主細胞膜上に発現している糖鎖末端のシアル酸に結合する.●NAにより,宿主細胞膜のシアル酸が除去され,増殖したウイルスが宿主細胞と結合することなく放出される.●A型ではM2蛋白,B型ではBM2蛋白によりH+がエンドソーム内に流入し,脱殻が起こる.核***RNAウイルスは一般に宿主細胞の核外(細胞質)で増殖する〔p.249〕が,インフルエンザウイルスは核内で増殖する.シアル酸は酸性アミノ糖(ノイラミン酸)の総称です.多くの細胞表面の糖タンパク質末端に存在し,細胞吸着・識別(免疫)に重要な役割を果たします.インフルエンザウイルスにとって宿主細胞のシアル酸は,吸着の際の受容体として働く一方で,放出の際にはウイルスと宿主細胞を連結してしまうため,増殖妨害因子ともなります.このため,インフルエンザウイルスは放出の際にNAを用いてシアル酸を切断する必要があります.●第一選択薬.●国が使用を判断・許可した場合にのみ使用可能.●新型または再興型インフルエンザ〔p.257W〕●ウイルスのNAを阻害することにより,宿主細胞内で増殖したウイルスの放出を抑制.●RNAポリメラーゼによるウイルスゲノムの複製およびウイルスタンパク質合成の阻害により,ウイルス増殖を抑制.●A型,B型インフルエンザ●A型インフルエンザ●低感受性ウイルスが出現しやすい.●耐性ウイルスが多いため,ほとんど使用しない.●キャップ依存性エンドヌクレアーゼによるmRNA合成開始阻害により,ウイルス増殖を抑制.●A型インフルエンザウイルスのM2蛋白を(RNA):ribonucleic acid ●赤血球凝集素(HA):hemagglutinin ●メッセンジャーリボ核酸(mRNA):messenger ribonucleic acidPharmacology vol.3 : An Illustrated Reference Guide商品名【M2蛋白阻害薬】●アマンタジン塩酸塩:シンメトレル(錠,細) 略語●ノイラミニダーゼ(NA):neuraminidase ●リボ核酸+αもっとわかる260HAHAM2蛋白M2蛋白M2蛋白阻害薬RNAポリメラーゼ阻害薬M2蛋白阻害薬NANA ウイルスの増殖過程を阻害 抗インフルエンザ薬ウイルス増殖過程と抗インフルエンザ薬の作用機序吸着シアル酸シアル酸エンドソームエンドソーム宿主細胞抗インフルエンザ薬のまとめ分類一般名(投与経路)オセルタミビル(内)ザナミビル(吸)ラニナミビル(吸)ペラミビル(注)ノイラミニダーゼ(NA)阻害薬ファビピラビル(内)キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬バロキサビルマルボキシル(内)アマンタジン(内)侵入脱殻キャップ依存性エンドヌクレアーゼキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬阻害し,脱殻を阻害.放出複製された複製されたウイルスゲノムウイルスゲノム翻訳ウイルスウイルスタンパク質タンパク質ノイラミニダーゼ(NA)阻害薬感染症専門医適応●A型,B型インフルエンザ特徴mRNAの合成RNAポリメラーゼRNAポリメラーゼ阻害薬ゲノムの複製,タンパク質合成●核内に移動したウイルスRNAからRNAポリメラーゼによりゲノムの複製が行われる.●キャップ依存性エンドヌクレアーゼとRNAポリメラーゼによりウイルスのmRNAが合成され,タンパク質の翻訳が行われる.ウイルスゲノムの複製作用機序抗インフルエンザ薬

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