薬みえ2-2
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P-糖蛋白 ●血栓を取り除き,虚血による機能障害を残さないために使用される.●静脈などの血流が遅い,あるいはうっ滞しやすい部位で血栓が形成される疾患での血栓形成予防のために使用される.●動脈などの速い血流下に血栓が形成される疾患での血栓形成予防のために使用される.投与目的●虚血によって起こる症状の改善が期待できる場合,つまり発症早期の血栓症.発症直後の虚血部位不可逆的障害部位●血流のうっ滞による凝固活性化で赤血球とフィブリンから形成される血栓.●動脈硬化などにより血管内皮細胞が障害された部位に血流の乱流が起こり,血小板が凝集することで形成される血栓.適応となる病態●脳梗塞急性期●急性心筋梗塞●発症直後の末梢動静脈閉塞症など●人工弁置換術後心原性脳塞栓症〔薬①p.207〕●虚血性心疾患●アテローム血栓性脳梗塞,一過性脳虚血発作(TIA)●末梢動脈疾患虚血性心疾患〔薬①p.367〕主な適応疾患words & terms血小板第4因子抗リン脂質抗体症候群(APS) 〔p.250〕生体の構成成分であるリン脂質(カルジオリピンなど)またはリン脂質に結合した蛋白に対する自己抗体により血液凝固能が亢進し,動静脈血栓症や習慣流産,血小板減少症をきたす症候群をいう〔p.398,病⑤p.251〕.抗血小板薬2剤併用療法(DAPT) 〔p.242〕抗血小板薬を2剤併用して行う強力な抗血栓療法(主にアスピリンとADP受容体遮断薬).虚血性心疾患の治療であるステント留置を伴う経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や冠動脈バイパス術(CABG)などの施行後に,血栓症の予防を目的として行われる〔病②p.140〕.〔p.231〕巨核球で産生されα顆粒内に含まれている,ヘパリン中和作用を有する蛋白質である.活性化した血小板から放出されるため,血中の値は血小板活性化の指標になる.〔p.254〕主に腸管上皮細胞の管腔側に存在し,細胞内から細胞外へ薬物を汲み出すことによって体内への吸収を抑制する,ABCトランスポーターの1つ.P-糖蛋白の基質となる薬物の作用は,P-糖蛋白を阻害する薬物との併用で促進され,P-糖蛋白の発現を誘導する薬物との併用で抑制される.P-糖蛋白は肝臓,腎臓,血液脳関門(BBB)〔薬①p.145〕にも存在し,薬物動態に影響を与える〔薬④p.70〕.略 語●一過性脳虚血発作(TIA):transient ischemic attack ●血液脳関門(BBB):blood-brain barrier ●ABCトランスポーター:ATP-binding cassette transporter ●抗リン脂質抗体症候群(APS):antiphospholipid syndrome ●抗血小板薬2剤併用療法(DAPT):dual antiplatelet therapy ●経皮的冠動脈インターベンション(PCI):percutaneous coronary intervention ●冠動脈バイパス術(CABG):coronary artery bypass graftingPharmacology vol.2 : An Illustrated Reference Guide+αもっとわかる240 抗血栓傾向へと導く 抗血栓療法と血栓溶解療法●血栓は,血栓傾向に強く傾いた場合や血管に異常がある場合,もしくは血流に異常がある場合に出現する.●血栓症の予防・治療のために,抗血栓療法を行う.抗血栓薬には,抗血小板薬と抗凝固薬がある.●血流を途絶させた血栓に対しては,血栓溶解薬(線溶薬)を用いて血栓溶解療法を行う.アテローム血栓性脳梗塞〔薬①p.207〕,TIA〔薬①p.218〕監修医学: 村﨑 かがり薬学: 厚味 厳一病❺p.262抗血栓療法抗血小板薬血栓形成を予防動脈血小板乱流動脈硬化など抗凝固薬静脈フィブリン赤血球●心原性脳塞栓症などの塞栓症●静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症)など脳・四肢へ深部静脈血栓症〔薬①p.422〕血栓溶解療法血栓溶解薬(線溶薬)形成された血栓を除去虚血部位血栓除去で不可逆的障害を回避できる部位血栓脳梗塞急性期急性心筋梗塞抗血栓薬と血栓溶解薬総論

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