薬1-2版_立ち読み
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●オピオイド受容体は,痛覚に関わる神経経路だけでなく,様々な部位に発現しているため,オピオイド鎮痛薬は,鎮痛の他にも多くの薬理作用を示す.●鎮痛薬として用いる.●鎮咳薬として用いるものもある.●急性中毒症状として出現する.●耐性が形成されるため,次第になくなる.主作用●耐性は形成されない.●中毒症状として出現しやすい.●耐性が形成されず,いつまでも症状が残る.●頻発である.●上半身の皮膚の紅潮と痒みを生じる.●気管支を収縮させるため,気管支喘息は禁忌.副作用*中枢性の痒みに対しては,抗ヒスタミン薬では抑制できず,オピオイドκ受容体作動薬ナルフラフィンが抑制することが知られている.●1回換気量が多くなり,1分間当たりの呼吸回数が5〜6回以下まで減少する.鎮痛を1とした場合の各作用の比率●縮瞳  ●口渇  ●発汗●陶酔感 ●瘙痒●視野調節障害●末梢性オピオイドμ受容体拮抗薬(ナルデメジン)●便秘治療薬(ルビプロストン,リナクロチド,エロビキシバット)●下剤(センノシド,酸化マグネシウム,ピコスルファートナトリウムなど)●D2受容体拮抗薬(プロクロルペラジン,ドンペリドン,メトクロプラミド)●H1受容体拮抗薬(ジフェンヒドラミン)●強力なD2受容体拮抗薬(ハロペリドール〔保険適●副作用が原因でオピオイド鎮痛薬の投与が継続できなくなる場合もあるため,次のような薬物で副作用への対策を行う.●便秘は頻発であり,耐性も形成されないため,必要な場合はオピオイド鎮痛薬投与早期から対策薬を投与することが多い.●せん妄,眠気については,原因を鑑別したうえでオピオイド鎮痛薬の減量や種類の変更を検討する.意識レベルや呼吸数の低下が,がんなど原疾患の進行によるのか,オピオイド鎮痛薬の過剰投与によるのかは総合的に判断しましょう.●オピオイド受容体拮抗薬(ナロキソン)●抗精神病薬●ベンゾジアゼピン系薬0.10.0210.42.6商品名【オピオイドκ受容体作動薬】●ナルフラフィン塩酸塩:レミッチ(カ,OD),ナルフラフィン(フィ) 【オピオイド受容体拮抗薬】●ナルデメジントシル酸塩:スインプロイク(錠) ●ナロキソン塩酸塩:ナロキソン塩酸塩(注) 【便秘治療薬】●ルビプロストン:アミティーザ(カ) ●リナクロチド:リンゼス(錠) ●エロビキシバット水和物:グーフィス(錠) 【緩下剤】●センノシド:プルゼニド(錠) ●酸化マグネシウム:酸化マグネシウム(錠,細,末) ●ピコスルファートナトリウム水和物:ラキソベロン(錠,内液),スナイリン(DS)➡Pharmacology vol.1 : An Illustrated Reference Guide1261000100100.10.01参考:鈴木 勉,武田 文和:オピオイド治療−課題と新潮流.エルゼビア・サイエンス ミクス,2000,p.25-34●鎮痛作用が現れる投与量より,低用量で便秘や悪心・嘔吐,高用量で眠気や1 作用部位は多岐にわたる オピオイド鎮痛薬の薬理作用 三大副作用は便秘,悪心・嘔吐,眠気 副作用と対策●オピオイド鎮痛薬の種類によって程度は異なるが,共通して次のような副作用が生じる.特に便秘,悪心・嘔吐,眠気の頻度は高く,三大副作用といわれる.●急性中毒症状として,呼吸抑制が生じることがある.●がんの終末期,高齢者ではせん妄〔p.192〕を生じることがある.●中等量以上のオピオイド鎮痛薬を使用していて急に中止すると,退薬症候(離脱症状)〔p.134〕を示すことがあるため,漸減する必要がある.薬理作用上行性痛覚伝達系の抑制,下行性痛覚抑制系の亢進など〔前項〕.延髄の咳中枢を抑制する.延髄の呼吸中枢を抑制する.鎮静作用.延髄の化学受容器引き金帯(CTZ)を刺激する.中枢抑制作用中脳の動眼神経核〔病⑦p.244〕を刺激する.中枢興奮作用腸内神経叢におけるアセチルコリンの遊離抑制により,腸管運動を抑制する.マスト細胞(肥満細胞)からヒスタミンを遊離させる.末梢作用副作用への対策動物の半数に薬理作用が現れるモルヒネ投与量(薬理作用の50%有効用量)呼吸抑制などが発現する.医師臨床効果・症状鎮痛鎮咳呼吸抑制眠気悪心・嘔吐縮瞳便秘瘙痒*鎮痛1悪心・嘔吐便秘副作用便秘(オピオイド誘発性便秘症:OIC)第一選択悪心・嘔吐第二選択呼吸抑制用外〕,クロルプロマジン)せん妄眠気(予防薬・治療薬はない)特徴死亡357.5呼吸抑制行動抑制(眠気)その他の副作用薬物

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