薬1-2版_立ち読み
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●痛みを機序により分類すると,器質的な痛みと,非器質的な痛み(心因性疼痛など)に分けられる.●さらに器質的な痛みは,侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛に分類される.●鎮痛薬は主に,❶オピオイド鎮痛薬(麻薬性鎮痛薬,非麻薬性鎮痛薬),❷非オピオイド鎮痛薬,❸神経障害性疼痛治療薬に分けられる.●神経障害性疼痛では,触れただけで非常に強い痛みを感じる痛覚過敏(アロディニア)が特に問題となる.●実際はこれらが重なって生じる痛みも多く,臨床で最も問題になる痛みは,がん性疼痛と,非がん性慢性疼痛である.●特に非がん性慢性疼痛では,器質的な痛み(侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛)と非器質的な痛み(心因性疼痛など)が複雑に絡み合った混合性疼痛となることで,対応に難渋する場合も多い〔p.123〕.●モルヒネの急性中毒(呼吸抑制など)を解除する際には,オピオイド受容体拮抗薬(ナロキソン,レバロルファン)を用いる.●痛覚伝導路が障害を受ける.●障害された神経の支配領域に様々な痛みや感覚異常が発生する.●NSAIDs●アセトアミノフェン●プレガバリン●ミロガバリン●抗うつ薬(アミトリプチリン,デュロキセチン)●メキシレチン●トラマドール●ペンタゾシン●ブプレノルフィン●トラマドール・アセトアミノフェン配合錠(トラムセット®,トアラセット®)半合成●モルヒネ●コデイン●ジヒドロコデイン●オキシコドン●ヒドロモルフォン薬物OrganizationPharmacology vol.1 : An Illustrated Reference Guide略 語●非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):non-steroidal anti-infl ammatory drugs ●世界保健機関(WHO):World Health 124神経系の損傷や機能異常(帯状疱疹,糖尿病,がん,外傷などによる)※臨床現場では,末梢静脈路確保時の末梢神経損傷に要注意神経機能自体にエラーが生じた病的な疼痛中枢ビリビリしびれるようにずっと痛い危険信号しばしば慢性化(慢性化すると治療が非常に難しい)●❷非オピオイド鎮痛薬侵害受容性疼痛体性痛内臓痛痛みの原因に直接対応できないかを常に考える.①まずは非オピオイド鎮痛薬を用いる.②状況に応じてオピオイド鎮痛薬,神経障害性疼痛治療薬などを用いる.中枢 急性と慢性の痛みがある 痛みの種類 それぞれ作用機序が異なる 鎮痛薬の分類 痛みの種類や状況に応じた薬の選択 鎮痛薬の使い分け●痛みの種類や状況に応じて,鎮痛薬を選択する.●がん性疼痛の患者では,オピオイド鎮痛薬の乱用や依存は生じにくいため,非オピオイド鎮痛薬で痛みが軽減しない場合には,WHO方式3段階除痛ラダー〔薬③p.529〕を参考に,患者の痛みの程度に合わせて積極的にオピオイド鎮痛薬を使用する.●非がん性慢性疼痛の患者では,オピオイド鎮痛薬の使用は常に慎重に行うべきである.慢性疼痛を軽減し,日常生活を改善することもあるが,一方でオピオイド鎮痛薬による弊害(乱用や依存)が顕著になることもある.種類体性痛痛みの発生源組織(皮膚,骨,筋肉,関節など)の損傷性質化学的刺激(炎症)熱刺激特徴(お湯,氷)機械的刺激(ナイフ,針)持続時間●❶オピオイド鎮痛薬麻薬性鎮痛薬アヘンアルカロイド侵害受容性疼痛内臓痛管腔臓器(胃,腸など)の炎症や閉塞,実質臓器(肝,膵など)の炎症や圧迫,臓器被膜の急激な伸展生体防御のための生理的な疼痛●侵害受容器が中枢へ,危険信号を伝達する.痛いっ侵害受容器(刺激受容センサー)急性(ときに慢性化)非麻薬性鎮痛薬合成麻薬性鎮痛薬●フェンタニル●レミフェンタニル (全身麻酔時のみ)●メサドン●タペンタドール●ペチジン※神経障害性疼痛では,非オピオイド鎮痛薬やオピオイド鎮痛薬の効果が乏しいことがあり,神経障害性疼痛治療薬が用いられることが多い.神経障害性疼痛神経障害●❸神経障害性疼痛治療薬器質的な痛み神経障害性疼痛鎮痛薬での対応

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